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2026 08 20
ヘッドブルワーに聞く、一杯のクラフトビールが生まれる物語
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クラフトビールブルワリー・ビール
クラフトビールは、原料を混ぜればすぐに完成するものではありません。モルト(麦芽)やホップを厳選し、仕込み、発酵、熟成と、いくつもの工程と時間を経て、ようやく一杯のビールが生まれます。
今回は、鎌倉雪ノ下ビール醸造所のヘッドブルワー永井至氏に、クラフトビール造りへの想い、こだわり、そして普段はなかなか知ることのできない醸造の裏側について話を聞きました。

クラフトビールとの出会い
私がクラフトビールの世界に足を踏み入れたのは、今から約10年前のことです。 すべての始まりは、ある日飲んだ一杯の「ヴァイツェン」でした。 それまで知っていたビールとはまったく異なる、豊かな香りと味わい。その一杯からは、造り手の個性やこだわり、そしてビールに込められた想いまで伝わってくるように感じました。 「ビールには、こんなにも多様な味わいがあるのか」その驚きと感動が、強く心に残りました。 そしていつしか、「いつか自分自身が造ったビールで、この感動をお客様にも届けたい」と思うようになったのです。
もともと私は、醸造とはまったく異なる仕事に就いていました。 そんな私の人生を大きく変えたのが、浅草でクラフトビールを造っていた一人のブルワーとの出会いでした。目の前で一杯のビールを丁寧に仕込み、細かな変化に向き合いながら、一つひとつの工程に情熱を注ぐ姿。その姿を見ているうちに、「自分もこの仕事で、人を笑顔にできるビールを造りたい」という想いが、より強くなっていきました。 その想いを胸に、私はクラフトビールの世界へ飛び込みました。
最初に向き合ったのは、150ℓの小さな醸造設備。そこでビール造りの基礎を一から学び、仕込み、発酵、温度管理、品質管理など、一つひとつの工程と向き合いながら経験を積み重ねていきました。
その後、300ℓ、そして現在では1,000ℓ規模の設備へ。醸造設備が大きくなるにつれて、求められる技術や判断力も大きく変わっていきました。 同じレシピであっても、仕込む量が変われば、温度管理や発酵のコントロール、酵母の状態、そして品質を安定させるための考え方も変わります。
数字だけでは判断できない、微細な変化を見極めること。 その日の状態に合わせて判断し、理想とする味わいへ近づけていくこと。そうした経験の一つひとつが、今の自分の醸造技術につながっています。 「昨日よりも、もっと美味しい一杯を造りたい。」 その想いを胸に、これまで培ってきた経験と技術を生かしながら、今日も一杯一杯のビールと真摯に向き合っています。
ビールを飲んだお客様の顔がほころび、「美味しい」と言ってくださる。 その一言に出会うために、これからも試行錯誤を重ね、技術を磨き続けていきたいと思っています。
あの日の一杯のヴァイツェンが、私の人生を変えたように。 今度は、自分が造る一杯が、誰かの心に残るビールになれば。
そんな想いを込めて、今日も醸造に励んでいます。
ビールを造るためのこだわり


厳選した素材選び
ビールの味わいを決めるモルトはもちろん、ホップもビールのスタイルや目指す味わいに合わせて組み合わせています。さらに、ホップは投入するタイミングによって香りや苦味が大きく変化するため、理想の風味を引き出せるよう細かく調整しています。
引き算のビール造り
ビール造りでは、個性を出そうとして必要以上に要素を加えてしまうと、本来の美味しさが損なわれることがあります。私が大切にしているのは「引き算」の考え方です。
雑味をできる限り抑え、すっきりとした飲み口でありながら、飲み進めるほど奥深さを感じられる、そんなバランスの良いビールを目指しています。
醸造の現場は想像以上に重労働


クラフトビール造りというと、おしゃれで華やかな仕事というイメージを持たれることがあります。しかし、実際の醸造現場は体力勝負の連続です。仕込みの日は熱々の麦汁を扱うため、醸造所内はサウナのような暑さになります。
さらに、約200kgにもなる麦芽粕を釜から取り出し、仕込みが終われば発酵タンクの内部を隅々まで洗浄します。体力的には決して楽な仕事ではありません。
それでも、その積み重ねが一杯の美味しいビールにつながっていると思うと、不思議と頑張ることができます。
好きなビールのスタイル

どのビアスタイルにもそれぞれの魅力がありますが、特に好きなのはスタウトです。シンプルなスタイルだからこそ、原料や醸造技術、造り手の個性がそのまま味わいに表れます。ごまかしが利かないからこそ難しく、だからこそ造りがいがある。私にとって特別な存在のビールです。
最後に
クラフトビールは、原料を仕込めばすぐに完成するものではありません。
素材選びから仕込み、発酵、熟成、そして提供される一杯に至るまで、多くの工程と時間、そしてブルワーの想いが込められています。
鎌倉雪ノ下ビール醸造所では、「何杯でも飲みたくなる王道の美味しさ」を目指し、丁寧に醸造を行っています。鎌倉を訪れた際は、ぜひ醸造所併設レストランで、出来たてならではのクラフトビールをお楽しみください。
